「甘酒は好きだけど、あまり詳しく知らない」という方は多いのではないでしょうか。

甘酒には原料が異なる甘酒があり、それぞれの特徴があります。

本記事では、甘酒の原料や作り方などで異なる甘酒の種類について、わかりやすくご説明したいと思います。

甘酒の種類

甘酒の種類

甘酒には、大きくわけて「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。

どちらの甘酒も日本の伝統的な飲み物で温めても冷やしても美味しくいただけますが、原料や製法、味わいにいくつかの違いがあります。

用途や好みに合わせて選ぶと良いでしょう。

米麹甘酒

  • 原料:米麹と米
  • 作り方:米麹と米を原料とし、米麹に含まれる酵素の働きで米のデンプンを糖化させて作ります。
  • 特徴:アルコールは含まれていません。自然な甘み、ビタミンやアミノ酸などの栄養が豊富に含まれています。
  • 味わい:自然な甘みと米の風味が特徴です。
  • 用途:米麹甘酒はそのまま飲むだけでなく、料理やお菓子作りにも使えます。
  • 栄養: 米麹甘酒はビタミンB群やアミノ酸、酵素など栄養が豊富です。

ノンアルコールで栄養価の高い甘酒が良い場合は、米麹甘酒がおすすめです。

妊娠中・授乳中の方や運転前の方は、ノンアルコールの米麹甘酒を選びましょう。

酒粕甘酒

  • 原料:酒粕と水、砂糖など
  • 作り方:酒粕をお湯で溶き、砂糖などで甘みをつけたものです。
  • 特徴:酒粕は日本酒を作る過程でできる副産物なので、微量のアルコールが含まれています。酒粕の風味が特徴的です。
  • 味わい:酒粕の風味と香りが特徴で、甘酒の種類によっては少し大人の味わいです。
  • 用途:酒粕甘酒は主に飲み物として楽しまれます。酒粕の風味を楽しみたい場合は、酒粕甘酒がおすすめです。
  • 栄養:酒粕甘酒も栄養価はありますが、米麹甘酒に比べるとやや劣ります。

「原料」の違い

米麹甘酒と酒粕甘酒は、どちらも甘酒と呼ばれますが、その原料は大きく異なります。

米麹甘酒の原料は「米麹」「米」「水」で、酒粕甘酒の原料は「酒粕」「甘味料」「水」です。

それぞれの原料を詳しくご説明します。

【米麹甘酒】原料

米麹甘酒の原料

米麹甘酒の主な原料は「米麹」「米」「水」です。

それぞれ、どのような種類があるのかを見てみましょう。

米麹

米麹

市販されている米麹甘酒では、主に以下の種類の米麹が使用されています。

一般米麹

一般的な米麹で、様々な種類の米から作られます。

比較的安価で入手しやすく、多くの米麹甘酒に使用されています。

米の種類や麹菌の種類によって、甘みや風味に違いがあります。

酒造用米麹

日本酒造りに使用される米麹で、酒米と呼ばれる特定の品種の米から作られます。

一般米麹に比べて酵素力が高く、甘酒の糖化が進みやすいため、より甘みの強い甘酒になります。

風味も豊かで、高級感のある米麹甘酒に使われることが多いです。

有機米麹

有機栽培された米から作られた米麹です。

化学肥料や農薬を使用せずに栽培された米を使用しているため、安全性に配慮した米麹甘酒に使われます。

有機米麹を使用することで、より自然な風味の甘酒に仕上がります。

玄米麹

玄米から作られた米麹です。

白米麹に比べて栄養価が高く、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいます。

玄米特有の香ばしい風味があり、独特の味わいの甘酒になります。

麴菌

米麹の種類に加えて、麹菌の種類によっても甘酒の風味や特徴が変わってきます。

  • 黄麹菌: 一般的な麹菌で、多くの米麹甘酒に使用されています。バランスの良い甘みと香りが特徴です。
  • 黒麹菌: クエン酸を多く生成するため、爽やかな酸味のある甘酒になります。
  • 白麹菌: クエン酸を生成しにくいため、甘みが強く、まろやかな味わいの甘酒になります。

米

市販されている米麹甘酒の米は、主に以下の種類が使用されています。

うるち米

一般的な米で、様々な品種が使用されます。

コシヒカリやあきたこまちなど、普段食べているお米と同じ品種が使われることも多いです。

品種によって甘みや粘り気が異なり、甘酒の風味に影響を与えます。

酒米

日本酒造りに使用される米で、山田錦や五百万石などが代表的です。

うるち米に比べて粒が大きく、心白(中心部の白い部分)が発達しているため、麹菌が繁殖しやすく、甘酒の糖化が進みやすいです。

高級感のある米麹甘酒に使われることが多く、豊かな風味と上品な甘みが特徴です。

玄米

白米よりも栄養価が高く、食物繊維やビタミン、ミネラルなどを豊富に含んでいます。

玄米特有の香ばしさやプチプチとした食感が楽しめる甘酒になります。

白米に比べて消化が悪いため、甘酒にする場合はよく炊いて柔らかくしておく必要があります。

古代米

赤米や黒米など、古くから栽培されている米の総称です。

アントシアニンなどのポリフェノールを多く含み、健康効果が期待できます。

色鮮やかな甘酒になり、見た目にも楽しめます。

産地や栽培方法

これらの米の種類に加えて、以下のように産地や栽培方法によっても甘酒の風味や特徴が変わってきます。

  • 有機栽培米: 化学肥料や農薬を使用せずに栽培された米を使用することで、より自然な風味の甘酒に仕上がります。
  • 特定の産地: 特定の地域で栽培された米を使用することで、その地域ならではの風味や特徴を持った甘酒になります。
  • 特別な栽培方法: 特別な栽培方法で育てられた米を使用することで、甘みや香りがより豊かな甘酒になります。

【酒粕甘酒】原料

酒粕甘酒の原料

米麹甘酒の主な原料は「酒粕」「甘味料」「水」です。

それぞれ、どのような種類があるのかを見てみましょう。

酒粕

日本酒の製造過程で生じる、醪(もろみ)を搾った後に残る固形物です。

麹菌、酵母、乳酸菌の働きによって発酵しており、独特の風味と栄養成分を含んでいます。

酒粕の種類によって、甘みや香り、コクなどが異なり、甘酒の味わいに大きな影響を与えます。

板粕

醪(もろみ)を搾った後に残る固形物を板状に成形したものです。

一般的にスーパーなどで販売されている酒粕で、入手しやすいのが特徴です。

保存性が高く、風味も安定していますが、甘酒にする際は、細かく砕いたり、すりおろしたりする必要があります。

バラ粕

板状に成形できなかった、柔らかい酒粕を集めたものです。

板粕に比べて香りが高く、風味が豊かですが、保存性が低く、早めに使い切る必要があります。

甘酒にする際は、そのまま溶かすことができるため、手軽に使えます。

練り粕

酒粕をペースト状に練り込んだものです。

すりおろす手間がなく、甘酒に溶けやすいのが特徴です。

保存性も高く、使い勝手が良いですが、板粕やバラ粕に比べて風味がやや劣ることがあります。

吟醸酒粕・大吟醸酒粕

吟醸酒や大吟醸酒の製造過程で生じる酒粕です。

香りが高く、上品な味わいが特徴で、高級感のある酒粕甘酒に使われます。

一般的な酒粕に比べて価格が高めですが、風味豊かな甘酒を楽しめます。

純米酒粕

純米酒の製造過程で生じる酒粕です。

米の旨味やコクが強く、濃厚な味わいの甘酒になります。

吟醸酒粕や大吟醸酒粕に比べて、香りが穏やかなのが特徴です。

日本酒の銘柄や産地

酒粕の種類に加えて、日本酒の銘柄や産地によっても甘酒の風味や特徴が変わってきます。

  • 特定の銘柄: 特定の日本酒の銘柄の酒粕を使用することで、その日本酒の風味を活かした甘酒になります。
  • 特定の産地: 特定の地域で造られた日本酒の酒粕を使用することで、その地域ならではの風味や特徴を持った甘酒になります。

甘味料

甘味料

酒粕自体は甘くないため、甘味料を加えて甘みを調整します。

砂糖が一般的ですが、好みによっては、蜂蜜、メープルシロップ、黒糖なども使用できます。

甘味料の種類や量によって、甘酒の甘さや風味が変わります。

砂糖

最も一般的な甘味料で、多くの酒粕甘酒に使用されています。

上白糖、グラニュー糖、三温糖など、様々な種類の砂糖が使われます。

砂糖の種類によって、甘さや風味、コクなどが微妙に異なります。

蜂蜜

自然な甘さと香りが特徴で、砂糖に比べてカロリーが低く、ミネラルやビタミンなどの栄養素も含んでいます。

蜂蜜の種類によって、風味や香りが異なり、甘酒に深みを与えます。

メープルシロップ

カエデの樹液から作られる天然の甘味料で、上品な甘さと香りが特徴です。

砂糖に比べてカロリーが低く、ミネラルやポリフェノールなども含んでいます。

メープルシロップの独特の風味が、酒粕甘酒にアクセントを加えます。

黒糖

さとうきびの搾り汁を煮詰めて作られる、ミネラル豊富な甘味料です。

独特のコクと風味が特徴で、酒粕甘酒に深みを与えます。

黒糖の種類によって、風味や香りが異なり、甘酒に個性を加えます。

人工甘味料

砂糖に比べてカロリーが低い、またはゼロカロリーの人工甘味料が使用されることもあります。

アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムKなどが代表的です。

カロリーを抑えたい方や、糖質制限中の方向けの酒粕甘酒に使われます。

その他の甘味料

これらの甘味料に加えて、以下のような甘味料が使用されることもあります。

  • オリゴ糖:腸内環境を整える効果が期待できる甘味料です。
  • 果糖ぶどう糖液糖:トウモロコシなどから作られる甘味料で、安価なのが特徴です。
  • 米麹甘酒:米麹甘酒を甘味料として加えることで、より自然な甘みとコクのある酒粕甘酒になります。

「作り方」の違い

米麹甘酒と酒粕甘酒は、どちらも甘酒と呼ばれますが、その製造方法は大きく異なります。

【米麹甘酒】作り方の特徴

米麹甘酒の作り方の特徴

米麹甘酒は、自然な甘みと米の風味を活かした、体に優しい発酵食品と言えるでしょう。

近年では、その栄養価や健康効果にも注目が集まっており、多くの人に愛飲されています。

米麹甘酒の製造方法の特徴は、以下の点が挙げられます。

麹菌の酵素による糖化

米麹甘酒は、米麹に含まれる麹菌の酵素(アミラーゼ)米のデンプンなどの複雑な糖質をブドウ糖などの単純な糖に分解します。

これを「糖化」と言います

酵素が、米のデンプンをブドウ糖などの糖に分解する「糖化」によって、自然な甘みが生まれます。

温度管理が重要

麹菌の酵素は、50〜60℃程度の温度で最も活発に働きます。

そのため、この温度帯を維持することが、美味しい甘酒を作る上で非常に重要です。

温度が高すぎると酵素が死滅し、低すぎると雑菌が繁殖してしまいます。

シンプルな原料

米麹甘酒の原料は、米麹、米、水だけです。

添加物や保存料などは一切使用しません。

そのため、自然で体に優しい甘酒と言えます。

発酵食品

米麹甘酒は、麹菌による発酵食品です。

発酵によって、ビタミンB群やアミノ酸、酵素など、様々な栄養素が生成されます。

ノンアルコール

米麹甘酒は、アルコール発酵をさせずに作られるため、アルコール分は含まれません。

そのため、子供からお年寄りまで、安心して飲むことができます。

【酒粕甘酒】作り方の特徴

酒粕甘酒は、日本酒の風味を活かした、手軽に作れる甘酒と言えるでしょう。

米麹甘酒とは異なる独特の風味があり、こちらも多くの人に愛飲されています。

酒粕甘酒の製造方法の特徴は、以下の点が挙げられます。

酒粕を溶かす

酒粕甘酒は、日本酒の製造過程で生じる副産物である酒粕を主原料としています。

この酒粕をお湯で溶かし、砂糖などで甘みをつけ、生姜などの風味を加えることで作られます。

加熱処理

酒粕には微量のアルコールが含まれているため、加熱処理を行うことでアルコール分を飛ばし、子供やお酒が飲めない人でも楽しめるようにすることが一般的です。

シンプルな工程

米麹甘酒のように麹菌による糖化や発酵の工程がなく、酒粕を溶かして甘みを加えるというシンプルな工程で作られます。

そのため、比較的短時間で手軽に作ることができます。

酒粕の風味

酒粕甘酒は、日本酒由来の豊かな風味と香りが特徴です。

酒粕の種類によって、甘みや香り、コクなどが異なり、様々な味わいの酒粕甘酒を楽しむことができます。

アレンジ

酒粕甘酒は、砂糖の量や生姜の量などを調整することで、甘さや風味を自分好みにアレンジすることができます。

また、牛乳や豆乳で割ったり、フルーツを加えたりするなど、様々なアレンジも可能です。

「味わい」の違い

米麹甘酒と酒粕甘酒は、甘さ、風味、舌触りなど味わいが異なります。

どのような違いがあるのかを見てみましょう。

【米麹甘酒】味わい

【米麹甘酒】味わい

米麹甘酒は自然な甘さと米の風味が特徴です。

米の粒が残っているタイプと、なめらかにすりつぶされているタイプがあり、それぞれ異なる食感が楽しめます。

米麹甘酒は以下の様な要素が組み合わさることで、人工的な甘味料では表現できない、自然で奥深い甘みと、米本来の風味豊かな味わいを生み出しています。

砂糖不使用の優しい甘さ

米麹甘酒は、米麹に含まれる酵素が米のデンプンをブドウ糖に分解することで甘みを生み出します。

そのため、砂糖を加えずとも、自然で優しい甘さが感じられます。

後味すっきり

ブドウ糖は、砂糖(ショ糖)よりも甘みが穏やかで、後味がすっきりしています。

そのため、甘ったるさがなく、飲みやすい甘さとなっています。

麹由来のまろやかさ

米麹には、甘みだけでなく、旨味やコクも含まれています。

これらが、甘酒全体をまろやかな味わいに仕上げています。

お粥のような香り

米麹甘酒は、米を原料としているため、お粥のような、ほのかな穀物の香りがします。

粒感

米麹甘酒の中には、粒が残っているものもあります。

この粒が、米本来の食感と風味をより感じさせてくれます。

【酒粕甘酒】味わい

【酒粕甘酒】味わい

酒粕甘酒は酒粕の独特の風味と砂糖による甘さが特徴です。

また、とろりとした滑らかな舌触りも特徴と言えます。

酒粕甘酒の味わいは、使用する酒粕の種類や製造方法によっても異なります。

ほのかな苦味と渋み

酒粕には、日本酒由来のほのかな苦味と渋みが含まれています。

これは、大人にとっては奥深い味わいと感じられますが、お子さまには少し苦手と感じられるかもしれません。

複雑な香り

酒粕には、日本酒由来の複雑な香りが含まれています。

フルーティーな香り、ナッツのような香り、またはカラメルのような香りが感じられることもあります。

これらの複雑な香りは、魅力的な要素となります。

微量のアルコール感

酒粕甘酒には微量のアルコールが含まれています。

このアルコール感は、甘酒全体の風味を引き締めます。

まとめ

まとめ

本記事では、甘酒の種類について説明させていただきました。

米麹甘酒は自然な甘さと米の風味が特徴で、酒粕甘酒は酒粕の独特の風味と砂糖による甘さが特徴です。

米麹甘酒を選ぶ際には、米の種類や産地、栽培方法を確認して、自分の好みに合った甘酒を探してみるのもよいでしょう。

酒粕甘酒を選ぶ際には、酒粕の種類、日本酒の銘柄、産地や甘味料の種類を確認して、自分の好みに合った甘酒を見つけるのもよいでしょう。

最近では、無添加やオーガニックを謳った酒粕甘酒も増えてきているので、健康志向の方にもおすすめです。

米麹と酒粕はどちらが良い悪いではなく、個人の好みによりますので、ぜひ両方試して、お好みの味わいを見つけてみてください。