
甘酒とは、米や米麹、または酒粕を原料とする、日本に古くから伝わる甘い飲み物です。
「酒」という字がつきますが、アルコールを含むかどうかは種類によって異なります。
この記事では、甘酒とはどのような飲み物なのかを、基礎からやさしく整理します。
具体的には、甘酒の定義、原料と作られ方、「お酒なのか」というアルコールの有無、含まれる主な成分、そして歴史の概観を順にご説明します。
甘酒は大きく「米麹甘酒(こめこうじあまざけ)」と「酒粕甘酒(さけかすあまざけ)」の2種類に分けられます。
まずこの2種類があることを押さえると、甘酒の全体像がつかみやすくなります。
甘酒とは(定義)
甘酒は、米や米麹、または酒粕を原料とする、日本の伝統的な甘い飲み物です。
温めても冷やしても飲まれ、行事や日常のなかで親しまれてきました。
甘酒には、大きく分けて次の2種類があります。
- 米麹甘酒:米麹を主な原料とし、麹の働きで甘みを生み出した甘酒。
- 酒粕甘酒:酒粕を湯で溶き、砂糖を加えて甘みをつけた甘酒。
名前に「酒」とつきますが、アルコールを含むかどうかは、この2種類で異なります。
詳しくは後半の「甘酒は『お酒』なのか」でご説明します。
なお、それぞれの違いをさらに詳しく知りたい方は、「甘酒の種類」もあわせてご覧ください。
甘酒の原料と作られ方
甘酒の原料と作り方は、米麹甘酒と酒粕甘酒で大きく異なります。それぞれ見ていきましょう。
米麹甘酒
米麹甘酒は、米麹を主な原料とする甘酒です。
米麹とは、蒸した米に麹菌(こうじきん)という微生物を繁殖させたものです。
作り方には、米麹と水だけで作る方法と、米麹に米(ごはんやおかゆ)を加えて作る方法があります。
米麹を一定の温度で保温すると、麹菌がつくる酵素(アミラーゼ)が米や米麹に含まれるデンプンを分解します。
この過程を糖化(とうか=デンプンが糖に変わること)といい、これによってブドウ糖などの甘みが生まれます。
砂糖を加えなくても甘くなるのが、米麹甘酒の特徴です。
米麹甘酒は、基本的にアルコールを含みません。
手作りの場合は、約55〜60℃で一晩から1日ほど保温して糖化させるのが一般的です。
酒粕甘酒
酒粕甘酒は、酒粕を湯で溶き、砂糖を加えて甘みをつけた甘酒です。
酒粕とは、日本酒をしぼった後に残るもののことです。
酒粕そのものには甘みが少ないため、砂糖を加えて作るのが一般的です。
酒粕には日本酒由来のアルコールが残っているため、酒粕甘酒はアルコールを含む可能性があります。
飲む人によっては注意が必要です。
詳しくは次の「甘酒は『お酒』なのか」でご説明します。
| 観点 | 米麹甘酒 | 酒粕甘酒 |
|---|---|---|
| 主な原料 | 米麹(+水。米を加える場合もある) | 酒粕(+水・砂糖) |
| 甘みの由来 | 麹の酵素による糖化(ブドウ糖など) | 加えた砂糖 |
| アルコール | 基本的に含まない | 含む可能性がある |
種類ごとの違いをさらに詳しく比較したい方は、「甘酒の種類」で表とともに解説しています。
甘酒は「お酒」なのか(アルコールの有無)
「甘酒」という名前から、お酒なのかどうか気になる方も多いと思います。
結論からいうと、アルコールを含むかどうかは種類によって異なります。
- 米麹甘酒:一般的な米麹甘酒は、アルコール発酵を行わないため、通常はアルコールを含みません。市販品では「アルコール分1%未満」と表示されることがありますが、これは酒税法上の「酒類」(アルコール分1度=1%以上の飲料)に当たらないという区分の基準であり、0%を意味するものではありません。気になる場合は製品の表示をご確認ください。
- 酒粕甘酒:酒粕に含まれるアルコールが残るため、製品によってはアルコールを含みます。加熱しても完全には抜けない場合があります。含まれる量は製品や作り方によって異なります。
そのため、酒粕甘酒や、アルコールを含む原料を使った甘酒については、次のような方は注意するか、避けることをおすすめします。
- 子供
- 妊娠中・授乳中の方
- 車や自転車などを運転する前の方
- アルコールに弱い方
- 服薬中の方
市販の甘酒を選ぶときは、米麹甘酒・酒粕甘酒のどちらなのか、また原材料やアルコールに関する表示を確認すると安心です。
甘酒に含まれる主な成分
甘酒には、いくつかの成分が含まれています。
ここでは、よく挙げられる成分をご紹介します。
食品成分表によると、米麹甘酒は100gあたり、エネルギーが約76kcal、たんぱく質が約1.7g、炭水化物が約18.3g、食物繊維が約0.4gなどとされています。
あわせて、ビタミンB群(B1・B2・B6など)や葉酸も少量含まれます。
なお、これは米麹甘酒の標準的な値であり、砂糖を加える酒粕甘酒や、製品・作り方によって成分は異なります。
米麹甘酒と酒粕甘酒では、原料が違うため、含まれる成分の傾向も異なります。
米麹甘酒は、糖化によって生まれるブドウ糖やオリゴ糖などを含みます。
一方、酒粕甘酒は、酒粕由来のたんぱく質やアミノ酸、食物繊維などを含むとされます。
これはどちらが優れているということではなく、原料による傾向の違いです。
米麹甘酒は、ブドウ糖やアミノ酸などを含むことから、栄養成分の豊富さを表す比喩として「飲む点滴」と呼ばれることがあります。
ただし、これはあくまで通称であり、医療用の点滴(輸液)と同じ組成や効果を持つという意味ではありません。
また、甘酒は糖質やカロリーを含みます。
飲みすぎには注意し、適量を心がけるとよいでしょう。
健康に関する個別の判断については、医師や管理栄養士などの専門家にご相談ください。
甘酒の歴史(概観)
甘酒の歴史は古く、その起源については諸説あります。
『日本書紀』には、木花開耶姫(このはなのさくやひめ)が狭名田(さなだ)の稲で醸したとされる「天甜酒(あまのたむざけ、あまのたむさけ)」の記述があり、これを甘酒の原型とする説があります。
意外に思われるかもしれませんが、甘酒は俳句では夏の季語とされています。
江戸時代には、夏の暑さをしのぎ栄養を補う飲み物として親しまれ、夏には「甘酒売り」が多く見られたといわれています。
初詣や冬に飲むイメージとは季節感が異なる点が、興味深いところです。
まとめ
この記事では、甘酒とはどのような飲み物なのかを、定義・原料・お酒かどうか・主な成分・歴史の順にご説明しました。
要点を振り返ります。
- 甘酒は、米や米麹、または酒粕を原料とする日本の伝統的な甘い飲み物です。
- 大きく「米麹甘酒」と「酒粕甘酒」の2種類があります。
- アルコールの有無は種類によって異なり、米麹甘酒は通常含まず、酒粕甘酒は含む可能性があります。
- いくつかの成分を含みますが、量や働きは種類・製品によって異なります。
- 江戸時代には夏の飲み物として広く親しまれ、現在も俳句では夏の季語とされています。
本記事について
本記事は一般的な情報提供を目的としており、効果・効能を保証するものではありません。健康状態やアレルギー、服薬、妊娠・授乳などで不安がある場合は、医師・管理栄養士等の専門家にご相談ください。

