米麹甘酒(こめこうじあまざけ)とは、米麹(こめこうじ)を糖化させて作る、砂糖を加えなくても甘い甘酒のことです。
麹の力で米のデンプンが甘みに変わるため、自然なやさしい甘さが生まれます。
また、一般的な米麹甘酒は通常アルコールを含みません。
この記事では、次のことが分かります。
- 米麹甘酒とは何か(定義)
- 何からできているのか(原料)
- なぜ砂糖を加えなくても甘いのか(糖化のしくみ)
- お酒なのか、アルコールはあるのか
- 基本的な作り方
- 味わいと栄養の概観
- 酒粕甘酒(さけかすあまざけ)との簡単な違い
なお、甘酒にはもう一つ「酒粕甘酒」という種類があります。こちらは原料も性質も異なるため、本記事では簡単に触れるにとどめます。詳しくは別の記事で解説します。
米麹甘酒とは(定義)
米麹甘酒とは、米麹を主な原料とし、麹菌(こうじきん)の酵素がデンプンを分解(糖化)することで甘みを生み出した甘酒です。
大きな特徴は、砂糖を加えなくても甘いことです。これは、後述する「糖化」というしくみによって、米のデンプンがブドウ糖などの甘み成分に変わるためです。
そして、一般的な米麹甘酒は通常アルコールを含みません。アルコールを生み出す発酵を行わないためです(詳しくは後述します)。
このあと「酒粕甘酒」も登場します。両者は原料も性質も異なります。本記事で「甘酒」という場合は、特にことわりがなければ「米麹甘酒」を指します。
米麹甘酒の原料
米麹甘酒の基本の原料は、米麹と水です。作り方には、大きく分けて次の2つの系統があります。
米麹と水だけで作る(はや作り)
米麹に湯を加えて混ぜ、一定の温度を保って糖化させる方法です。米飯(ごはん)を使わず、米麹と水だけで作ることができます。
米麹に米飯を加えて作る(うす作り)
やわらかく炊いたごはんやお粥に米麹を混ぜ、保温して糖化させる方法です。農林水産省の解説でも、炊飯した米と米麹、水を混ぜて保温する方法が紹介されています。
どちらの方法でも、米麹に含まれる酵素がデンプンを分解して甘みを生み出す、という点は共通しています。
「米麹甘酒は米とごはんから作る」と思われがちですが、米飯を使わず米麹と水だけでも作れます。原料を「米+米麹」だけに限定するのは、やや狭い理解です。
なぜ砂糖を加えなくても甘いのか(糖化のしくみ)
米麹甘酒が砂糖なしで甘くなるのは、「糖化(とうか)」というしくみによるものです。
米麹には、麹菌というカビの一種(学名 Aspergillus oryzae)が繁殖しています。麹菌は、デンプンを分解するアミラーゼという酵素を作り出します。
このアミラーゼが、米や米麹に含まれるデンプンを、ブドウ糖などの小さな糖に分解します。この一連の働きが「糖化」です。デンプン自体には甘みがありませんが、ブドウ糖に分解されることで甘みが感じられるようになります。
つまり、米麹甘酒の甘さは砂糖ではなく、麹の酵素が米のデンプンから引き出した甘みなのです。だからこそ、砂糖を加えなくても自然な甘さになります。
米麹甘酒は「お酒」なのか(アルコールの有無)
「甘酒」という名前から、お酒だと思われることがあります。しかし、一般的な米麹甘酒は、通常アルコールを含みません。
これは、米麹甘酒の製造が、酵母によるアルコール発酵を伴わないためです。麹の酵素による糖化は、デンプンを糖に変える働きであって、アルコールを生み出す発酵とは異なります。
「1%未満」は0%という意味ではない
米麹甘酒について、アルコール度数を「1%未満」と表現することがあります。ここで注意したいのは、「1%未満」は「0%」を意味するわけではないという点です。
これは、酒税法という法律が、アルコール分1度(=1%)以上の飲料を「酒類(しゅるい)」と定めていることに関係します。米麹甘酒(1%未満)は、この基準で「酒類」には当たらないため、市販品の多くは清涼飲料(ソフトドリンク)として扱われます。「1%未満」は、あくまでこの区分の基準を示す表現です。
市販品は表示の確認を
一般的な米麹甘酒は、お子さんや妊娠中の方にも比較的飲みやすいとされます。ただし、市販品を選ぶ際は、原材料や表示を確認することをおすすめします。製品によっては酒粕が使われていたり、アルコールを含んでいたりする場合があるためです。
もう一つの種類である酒粕甘酒は、酒粕由来のアルコールを含む可能性があります。米麹甘酒とは性質が異なるため、混同しないようご注意ください。酒粕甘酒については別の記事で詳しく解説します。
米麹甘酒の作り方(基本)
米麹甘酒は、家庭でも作ることができます。ここでは基本の流れを紹介します。
基本のステップ
- 米麹と水だけで作る場合(はや作り):米麹に湯を加えて混ぜます。
- 米飯を加える場合(うす作り):やわらかいごはんやお粥に米麹を混ぜ、水を加えます。
- 約55〜60℃を保ちながら、一晩から1日ほど保温して糖化させます。
- 甘みが出たら完成です。
農林水産省の解説でも、60℃くらいに調整して1日ほど保温する方法や、米麹と同量の炊飯米・水を混ぜて55〜60℃で一晩加温する方法が紹介されています。
温度管理の注意(食品衛生)
手作りの際は、温度管理に注意が必要です。
- 温度が高すぎると、酵素が働きにくくなり、うまく甘くなりません。
- 温度が低すぎると、雑菌が繁殖しやすくなります。
衛生面から、清潔な器具を使い、作ったあとは冷蔵で早めに消費してください。「絶対に安全」というものではないため、異臭や異常な酸味などが感じられた場合は口にしないようにしましょう。
より詳しい作り方やアレンジは、別の記事で紹介しています。本記事ではしくみの理解を中心に、基本の流れのみを示しています。
米麹甘酒の味わいと栄養の概観
米麹甘酒は、麹の糖化による自然な甘みと、米由来のやさしい風味が特徴です。砂糖の甘さとは異なる、穏やかな甘さが楽しめます。
栄養の概観
米麹甘酒には、糖化によって生まれたブドウ糖のほか、ビタミン類なども含まれます。文部科学省の食品成分表によると、米麹甘酒のエネルギーは100gあたり約76kcalです。
栄養成分の詳しい数値や、酒粕甘酒との成分の比較については、別の記事で改めて詳しく解説する予定です。
「飲む点滴」という呼び方について
米麹甘酒は、ブドウ糖やアミノ酸、ビタミン類などを含むことから、「飲む点滴」と呼ばれることがあります。
ただし、これはあくまで栄養成分の豊富さをたとえた通称・俗称です。医療用の点滴(輸液)には決まった単一の組成があるわけではなく、米麹甘酒が輸液と同じ組成や効果を持つという意味ではありません。医学的な効能を保証する表現ではない点にご注意ください。
飲むときの注意
米麹甘酒は糖質やカロリーを含みます。栄養があるイメージから多めに飲んでしまうこともありますが、適量を心がけるとよいでしょう。健康に関する個別の判断は、医師や管理栄養士など専門家にご相談ください。
酒粕甘酒との違い(簡単に)
甘酒には、米麹甘酒のほかに「酒粕甘酒」という種類があります。両者の違いを簡単にまとめると、次のようになります。
| 観点 | 米麹甘酒 | 酒粕甘酒 |
|---|---|---|
| 主な原料 | 米麹(+水。米を加える場合もある) | 酒粕(+水・砂糖) |
| 甘みの由来 | 麹の酵素による糖化(ブドウ糖など) | 加えた砂糖 |
| 砂糖 | 加えなくても甘い | 加えるのが一般的 |
| アルコール | 基本的に含まない | 含む可能性がある |
このように、米麹甘酒と酒粕甘酒は、原料も甘みの由来も、アルコールの有無も異なります。どちらが優れているということではなく、原料による性質の違いとして理解するとよいでしょう。
酒粕甘酒の詳しい解説や、2種類のより詳細な比較については、甘酒の種類の記事もあわせてご覧ください。
まとめ
米麹甘酒について、要点を振り返ります。
- 米麹甘酒とは、米麹を糖化させて作る、砂糖を加えなくても甘い甘酒です。
- 原料は米麹と水が基本で、米飯を加える作り方もあります。
- 甘さは、麹の酵素(アミラーゼ)がデンプンをブドウ糖などに糖化することで生まれます。
- 一般的な米麹甘酒は通常アルコールを含みません。ただし市販品は表示を確認しましょう。
- もう一つの種類である酒粕甘酒はアルコールを含む可能性があり、性質が異なります。
甘酒の種類全体や、2種類の違いについては、関連記事もあわせてご覧ください。
関連記事
- 甘酒の種類(米麹甘酒と酒粕甘酒の違い) → 甘酒の種類
- 甘酒とは(甘酒の基礎) → 甘酒とは
- 甘酒の楽しみ方・作り方 → 甘酒の楽しみ方
- 酒粕甘酒とは(別記事・準備中) → 公開後にリンクを追加します
- 甘酒の栄養・成分(別記事・準備中) → 公開後にリンクを追加します
本記事は一般的な情報提供を目的としており、効果・効能を保証するものではありません。健康状態やアレルギー、服薬、妊娠・授乳などで不安がある場合は、医師・管理栄養士等の専門家にご相談ください。
参考(出典)
- 国税庁「酒類の定義」 https://www.nta.go.jp/taxes/sake/qa/01/01.htm
- 農林水産省「甘酒と白酒の違いについて」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1201/a02.html
- 農林水産省「甘酒の2種類の違い」 https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1712/02.html
- 農林水産省「うちの郷土料理/日本の発酵文化(PDF)」 https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/traditional-foods/files/user/pdf/japanese_hakko_part3.pdf
- 文部科学省 食品成分データベース(甘酒 16050) https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16050_7
- 「米麹+水のみ」で作る製法(はや作り)は、味噌・麹メーカー等の公表レシピで広く確認できる。農林水産省の解説例は「米飯+水+米麹」の方法を記載。
