甘酒を買おうとして、棚に並ぶ商品の多さに迷ったことはないでしょうか。甘酒には大きく分けて米麹甘酒と酒粕甘酒の2種類があり、原料が違えば甘みの出かたもアルコールの有無も変わります。

この記事では、甘酒を選ぶときに確認したい5つの観点を整理します。種類の決め方、原材料表示の見方、味わいと用途、注意が必要な人と場面、保存方法と容量の5つです。パッケージのどこを見れば何が分かるのかを中心にお伝えします。

なお本サイトは非営利で運営しており、特定の商品をおすすめすることはありません。ご自身で判断するための観点をお伝えするものとしてお読みください。


まず「米麹甘酒」か「酒粕甘酒」かを決める

甘酒選びの出発点は、米麹甘酒と酒粕甘酒のどちらを選ぶかです。この2つは原料も製法も異なるため、ここが決まると選択肢は大きく絞り込めます。そもそも甘酒とは何かという前提から知りたい方は、甘酒とはをあわせてご覧ください。

米麹甘酒は、米麹を主な原料とします。麹菌(こうじきん)がつくる酵素が米のデンプンを分解して糖に変える「糖化(とうか)」という働きによって、砂糖を加えなくても甘みが生まれます(農林水産省「甘酒と白酒の違いについて」)。基本的にアルコールを含みません。

酒粕甘酒は、日本酒を搾ったあとに残る酒粕を湯で溶き、砂糖を加えて甘みをつけます。原料の酒粕にアルコールが残るため、酒粕甘酒はアルコールを含む可能性があります。

観点米麹甘酒酒粕甘酒
主な原料米麹(水、米を加える場合もある)酒粕(水・砂糖)
甘みの由来糖化によって生まれる糖加えた砂糖
アルコール基本的に含まない含む可能性がある
味の傾向米の自然な甘みと風味酒粕の風味とコク

2種類の違いをより詳しく知りたい方は、甘酒の種類で原料や作り方の違いを観点別に解説しています。

米麹甘酒が向く場面

砂糖を加えずに生まれる甘みを味わいたい場合や、アルコールを避けたい場合は、米麹甘酒が選択肢になります。米の風味がそのまま感じられる点も特徴です。

ただし、市販品はアルコールの有無を含めて必ず原材料と表示を確認してください。製造方法は製品ごとに異なります。米麹甘酒そのものの仕組みについては、米麹甘酒とはで糖化の流れを詳しく説明しています。

酒粕甘酒が向く場面

酒粕ならではの風味やコクを好む方には、酒粕甘酒が向いています。日本酒づくりの副産物である酒粕を使うため、米麹甘酒とはまったく異なる味わいになります。

一方で、酒粕甘酒はアルコールを含む可能性があります。加熱してもアルコールが完全には抜けない場合があるため、飲む人や場面によっては注意が必要です。詳しくは後述の「注意が必要な人・場面を確認する」と、酒粕甘酒とはをあわせてご確認ください。

米麹と酒粕の両方を使った製品もある

市販品のなかには、米麹と酒粕の両方を原料に使ったものもあります。たとえば森永製菓「甘酒190g」の原材料名は「砂糖、酒粕、米麹、食塩/酸味料」と表示されています。

この場合、原材料に酒粕が含まれているため、アルコールの扱いは酒粕甘酒に準じて考えるのが安全です。「米麹」と書かれているからアルコールを含まない、とは判断できません。


原材料表示の見方

種類が決まったら、次に見るのはパッケージの原材料表示です。表示の読み方を知っておくと、商品説明の言葉に頼らず、自分で中身を判断できるようになります。

原材料は重量の多い順に並ぶ

加工食品の原材料名は、「使用した原材料に占める重量の割合の高いものから順に、その最も一般的な名称をもって表示」することになっています(消費者庁「食品表示ガイド 早わかり」)。つまり、先に書かれているものほど多く使われているということです。

このルールを知っていると、甘みの主体がどこにあるのかが読み取れます。原材料名の先頭が「砂糖」であれば、甘みの中心は加えた砂糖です。先頭が「米麹」や「米」であれば、甘みは糖化によって生まれたものが中心だと考えられます。

「/」の後ろが添加物

原材料と添加物は、明確に区分して表示すると定められています。

区分の方法は次の3つのいずれかです(消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」)。

  • スラッシュ(/)で区分して表示する
  • 改行して表示する
  • 原材料名欄とは別に、添加物欄を設けて表示する

市販の飲料では、「/」で区切る形式がよく使われています。

また、次の添加物は、用途名を物質名と一緒に表示する必要があります。

  • 甘味料、着色料、保存料
  • 増粘剤、安定剤、ゲル化剤または糊料
  • 酸化防止剤、発色剤、漂白剤
  • 防かび剤または防ばい剤

「酸味料」「香料」といった表記が「/」の後ろに並んでいれば、それが添加物です。

一方で、表示が免除される添加物もあります。

最終的に食品に残っていない「加工助剤」、残っていても量が少なく効果が発揮されない「キャリーオーバー」です(消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」)。

表示に書かれていないことが、添加物がまったく使われていないことを意味するとは限らない点は、知っておくとよいでしょう。

栄養強化目的で使用する添加物は、2025年3月の食品表示基準改正により、原則として表示が必要になりました。

ただし、2030年3月31日までに製造・加工・輸入される一般用加工食品には、改正前の規定による表示を認める経過措置があります。

「酒粕」の表記はアルコールの手がかり

原材料名に「酒粕」の記載があれば、その製品はアルコールを含む可能性があると考えてください。これは酒粕甘酒を選ぶかどうかにかかわらず、表示から読み取れる大切な手がかりです。

先ほどの森永製菓「甘酒190g」を例に、表示から何が読み取れるかを整理します。

表示読み取れること
原材料名:砂糖、酒粕、米麹、食塩/酸味料甘みの主体は砂糖。酒粕を使うためアルコールを含む可能性がある。「/」の後ろの酸味料は添加物
アルコール分1%未満酒類に当たらない区分であることを示す表示
100gあたり57kcal他の製品と量を比べるための手がかり

ここで注意したいのが「1%未満」という表示の意味です。酒税法では、酒類をアルコール分1度(1%)以上の飲料と定義しています(国税庁「酒類の定義」)。つまり「1%未満」は、酒税法上の酒類に当たらないという区分を示すものであって、アルコールが0%であることを意味するものではありません。

栄養成分表示で量を比べる

栄養成分表示では、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの量の表示が必要です(消費者庁「食品表示ガイド 早わかり」)。同じ100gあたりの数値で見比べると、製品ごとの違いが分かります。

参考までに、日本食品標準成分表に収載されている甘酒(食品番号16050)は、可食部100gあたり76kcalです(文部科学省 食品成分データベース)。この項目は英名が「sweet beverage made from rice koji」と表記されており、米麹甘酒を指します。

成分そのものの詳しい解説は、別の記事であらためて扱う予定です。


味わい・濃さ・用途で選ぶ

種類と原材料表示を確認したら、次は好みと使い道です。同じ米麹甘酒でも、製品によって濃さや口当たりは異なります。

そのまま飲むか、薄めて飲むか

市販の甘酒には、そのまま飲めるタイプと、水や湯で薄めて飲む濃縮タイプがあります。

濃縮タイプは、薄め方によって甘さや濃さを自分で調整できます。ただし、飲む量に対して内容量の考え方が変わるため、購入時は製品の表示に記載された使い方を確認してください。

口当たりの好み

米粒の粒感が残っているタイプと、なめらかにすりつぶされたタイプがあります。飲む場面や好みによって、心地よく感じる口当たりは変わります。

はじめて選ぶ場合は、少量の製品で口当たりを試してから、続けて飲むものを決めるという進め方もあります。

料理に使うことも考えるか

甘酒は飲むだけでなく、料理の甘みづけに使われることもあります。料理にも使うつもりであれば、その用途に向く製品かどうかを確認しておくと選びやすくなります。

具体的な飲み方や料理への使い方は、甘酒の楽しみ方で紹介しています。


注意が必要な人・場面を確認する

ここでは、味や好み以上に優先したい「飲む人と場面」を扱います。酒粕甘酒のアルコールに関わるため、正確に押さえてください。

酒粕甘酒とアルコールの関係

酒粕甘酒は、原料の酒粕にアルコールが残るため、製品によってアルコールを含みます。加熱しても完全には抜けない場合があります。

日本食品標準成分表によると、原料である酒かす(食品番号17053)には、可食部100gあたり8.2gのアルコールが含まれます(文部科学省 食品成分データベース)。ただしこれは原料の酒粕の値であり、飲み物にした酒粕甘酒の値ではありません。どれだけ薄めるか、砂糖をどれだけ加えるかによって、完成した飲み物の値は大きく変わります。

市販の完成品には「アルコール分1%未満」と表示している例があります。前述のとおり、これは酒類に当たらない区分を示すものであり、0%という意味ではありません。手作りした場合にどの程度の度数になるかは、確かな数値を確認できていません。

なお米麹甘酒は、通常アルコール発酵を行わないため、基本的にアルコールを含みません。それでも市販品を選ぶときは、原材料と表示を確認する習慣をつけてください。

飲む人と場面ごとに確認したいこと

飲む人・場面確認したいこと
子ども原材料に酒粕が使われていないか。使われている場合は避ける
妊娠中・授乳中の人同上。判断に迷う場合は医師等の専門家に相談する
車や自転車の運転前酒粕を使った製品は避ける
アルコールに弱い人原材料に酒粕がないか、アルコール分の表示があるか
服薬中の人医師・薬剤師に相談する

「甘酒だからアルコールは入っていない」と種類を区別せずに考えるのは正確ではありません。米麹甘酒と酒粕甘酒は別のものとして扱ってください。


保存方法と容量を買う前に確認する

最後は、買ったあとに困らないための項目です。保存方法と容量は、購入前に表示から読み取れます。

要冷蔵か常温か

加工食品には、開封前の保存方法が「直射日光を避け、常温で保存すること」などの形で表示されます(消費者庁「食品表示ガイド 早わかり」)。甘酒にも要冷蔵の製品と常温で保存できる製品があります。

冷蔵庫に置き場所を確保できるか、まとめ買いをしたいのかによって、選ぶべき製品は変わります。

賞味期限と消費期限の違い

期限表示には2種類あります。品質が急速に劣化する食品には「消費期限」、それ以外の食品には「賞味期限」を表示することになっています(消費者庁「食品表示ガイド 早わかり」)。どちらが書かれているかで、扱いの前提が変わります。

飲みきれる容量を選ぶ

開封後の取り扱いは製品によって異なるため、無理なく飲みきれる容量を選んでおくと迷いません。開封後の具体的な保存方法や期間は、製品の表示に従ってください。異臭や普段と違う酸味、カビなど、いつもと違う様子があれば口にしないようにしてください。

保存や開封後の扱いについては、別の記事であらためて詳しく扱う予定です。


まとめ

甘酒を選ぶときに確認したい観点を、あらためて整理します。

  1. 種類を決める:米麹甘酒か酒粕甘酒か。ここで選択肢が大きく絞られます
  2. 原材料表示を見る:原材料は重量の多い順。「/」の後ろが添加物。「酒粕」はアルコールの手がかり
  3. 味わい・濃さ・用途で選ぶ:そのまま飲むか薄めるか、口当たり、料理に使うか
  4. 飲む人と場面を確認する:子ども、妊娠中・授乳中、運転前、服薬中は特に慎重に
  5. 保存方法と容量を見ておく:要冷蔵か常温か、期限表示、飲みきれる量か

冒頭でお伝えしたとおり、本サイトは特定の商品をすすめる立場をとりません。ここで挙げた観点をもとに、ご自身に合うものを選んでいただければと思います。

本記事は一般的な情報提供を目的としており、効果・効能を保証するものではありません。健康状態やアレルギー、服薬、妊娠・授乳などで不安がある場合は、医師・管理栄養士等の専門家にご相談ください。

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参考(出典)